就活生からの人気が高い人材業界。
毎年のように多くの学生が人材業界を志望しています。
人材業界は、仕事を通して誰かの「キャリア選択」という人生の分岐点に携わるため、やりがいが大きく世の中への貢献度が高い仕事だと考えている人も多いのではないでしょうか。
一方で、誰かの人生の分岐点に携わるからこそ、責任の大きさや葛藤が生まれやすくある仕事でもあります。
そのため、人材業界の魅力を理解することはもちろん大切ですが、それだけではなく、人材業界のリアルなデメリットも知った上で、就職するのかを決断することが大切です。
そこで今回は、人材業界を志望していた元就活生の視点から、新卒で人材業界に就職するメリットやデメリット、さらには人材業界に向いている人・向いていない人をお伝えしていきます!
- 人材業界ってどんな仕事をするの?
- 人材業界のメリットとデメリット
- 人材業界に向いている人・向いていない人
- 22卒の元就活生
- 元人材業界志望
- 人材業界サマーインターン11社参加
- 人材業界4社内定
人材業界とは
一括りに人材業界といっても、様々な業態があります。
そこで、まずは人材業界の業態を簡単に説明します!
人材紹介
人材紹介とは、転職を希望する人(求職者)と採用を募集している企業(求人企業)とを繋げるお仕事です。
人材紹介の職種としては、
- キャリアアドバイザー(CA)
- リクルートアドバイザー(RA)
の2種類があります。
キャリアアドバイザーは、求職者との面談を通して求職者への企業の紹介、履歴書作成や選考のサポートなどの支援を行います。
一方でリクルートアドバイザーは、求人企業がどんな人材を求めているかのヒアリングを行い、それを元に求人票の作成、企業側に人材の紹介などを行います。
これらの仕事は、CAとRAの片方のみをやる会社(分業制)もあれば、両方をやる会社(一気通貫型)もあります。
就活生がイメージしている人材業界は、「キャリアアドバイザーをやる仕事」という人が大多数なのではないでしょうか。「リクルートアドバイザーという、企業側を担当する可能性もある」ということをしっかり心に留めておきましょう。
人材派遣
人材派遣とは、派遣サイトに登録している派遣スタッフを、求人企業へと派遣するお仕事です。
人材派遣も人材紹介と同様に、派遣スタッフの対応をする人と、求人企業の対応をする人がいる場合がほとんどでしょう。
求人広告
求人広告とは、企業の求人情報を自社メディアに掲載し、求職者に情報提供をするお仕事です。
リクルートやマイナビなどがイメージしやすいでしょうか。
求人企業が、リクルートやマイナビなどが運営するメディアに広告を掲載することで、顧客は企業の情報を入手することができます。
人材コンサルティング
人材コンサルティングとは、企業の人事戦略や人事評価制度に関するコンサルティングサービスです。
コンサルティングの手法には以下の通り様々な方法があります。
- 採用戦略を練る採用コンサルティング
- 社員の教育を行う教育・研修コンサルティング
- 人事制度の設計をサポートする人事コンサルティング
- 採用や給与計算の一部をアウトソーシング
上記のように、各会社によって強みを活かしたコンサルティング事業を行っているのです。
人材業界のメリット3選
人材業界の一番のメリットは、「誰かの人生に直接影響を与えられる」ところに感じている人も多いのではないでしょうか。
ここからは、人材業界の中でも「人材紹介・人材派遣」に絞った上で、元就活生視点から考える人材業界のメリットについてお伝えしていきます!
- 誰かの人生の分岐点に携わることができる
- 熱い想いをもった人と一緒に働くことができる
- 様々な業界を知ることができる
誰かの人生の分岐点に携わることができる
求職者にとってのキャリア選択とは、人生の分岐点とも言える非常に大切な選択です。
なぜなら、仕事は1日の3分の2近くの時間を占めるものであり、仕事の選択は人生を大きく変えるからです。
そして、人材業界での主な仕事は、「人と企業とを繋ぐ仕事」です。
つまり、人材業界で人と企業とを繋ぐ仕事に携わるというとは、誰かの人生の分岐点に携わることでもあるということです。
そのため、誰かの人生に大きく関わることに対して、楽しさや喜びを見出す人にとっては、人材業界での仕事はやりがいを持って働くことができるでしょう。
熱い想いをもった人と一緒に働くことができる
人材業界で働く人の中には、「誰かの人生に携わり、ポジティブな影響を与えたい」と考えている人がたくさんいます。
また、人と関わることがマストな仕事であるため、人に対して熱い人や、興味を持つような人が多い印象です。
そのため、自分と同じような思いを持った人と熱く働きたいという人にとっては、仕事内容だけでなく、共に働く人もやりがいや楽しさの一つに繋がるかもしれません。
選考官も普段はキャリアアドバイザーとしてキャリア相談に乗っている人がほとんどであったので、私が人材業界の本選考を受けていた際には、選考でありながらもキャリアの相談に乗ってくださる機会が何度もありました。
様々な業界を知ることができる
人材業界でキャリアアドバイザーを行う際には、求職者に合った職種や業界を紹介する必要があります。
そのためには、まずは自分自身が様々な業界についての知識を持っておく必要があります。
もう少し簡単な例で分かりやすくお伝えすると、
新しい趣味を見つけたいのだけれども、何がオススメ?
と聞かれたときに、自分の知っている範囲内での趣味しか答えることはできませんよね。
人材業界も同じような考え方で、自分が知らない業界や職種のことを求職者に紹介することはできません。
だからこそ、人材業界で働くことで様々な業界や職種についての知識を身につけることができるのです。
特に、新卒入社する場合は自分の知っている・興味の持てる業界や職種には限界があると思うので、自分の選択の幅を広げるという意味でも、様々な業界を知ることができるのは大きなメリットになり得ますね。
人材業界のデメリット2選
人材業界は人と企業とを繋げる素敵な仕事ですが、その分もちろんデメリットもあります。
ここからは、人材業界のリアルなデメリットを紹介していきます!
- 景気に左右されやすい
- 人をビジネスとする
景気に左右されやすい
人材業界は景気や少子化の影響を受けやすいというリスクがあります。
なぜなら、景気が良ければ求人数は増加しますが、悪ければ雇用は縮小される傾向があるためです。
それこそ、現在蔓延しているコロナウイルスの影響により、人材業界は大きなダメージを受けた業界の一つになります。
コロナにより求人企業側の採用数が減った結果、人材サービスを行う企業の売り上げが減少した会社もあります。
実際、株式会社UNIASが行った調査によると、コロナウイルスの流行により、6割以上の人材紹介会社が売り上げ減少したというデータも出ているのです。
さらに、景気だけでなく少子化の影響も受ける可能性があります。
なぜなら、少子化により働き手自体の人口が減ってしまうと、人材サービスを利用する人も減るため、企業に紹介できる人材が少なくなってしまうことも考えられるためです。
このように、人材業界は景気や少子化の影響を受けやすい業界であるということは把握しておきましょう。
「人」がビジネスの商材になる
人材業界は誰かの人生の分岐点に携わることができるため、やりがいを持てる仕事ではありますが、裏を返せば人材業界は「人」をビジネスの商材として扱うのです。
なぜ、人をビジネスの商材として扱うことになってしまうのかというと、会社として経営している以上、社会貢献をすることはもちろん大切ですが、それに加えて利益を出し続ける必要があるためです。
人材業界で働くキャリアアドバイザーには毎月「売り上げノルマ」というものが存在しており、ノルマを達成するためには企業と求職者とをマッチングさせなければなりません。
そしてマッチングがうまくいった場合、求職者が企業に採用される際の年収の3割程度が成果報酬となります。
そのため、求職者の選択する会社によって、キャリアアドバイザーのノルマに影響を与える成果報酬が異なってくるのです。
もう少し具体的にお伝えすると、Aさんという人物にB社・C社・D社の3社を紹介しているとします。
- B社に入社すれば100万
- C社に入社すれば150万
- D社に入社すれば200万
上記のような条件の中で、Aさんにとってベストな選択はB社であると感じても、キャリアアドバイザーである自分自身のノルマを達成するために、成果報酬の高いD社に入社してもらうように誘導することもできてしまうのです。
そのため、悩んでいるAさんに向けて、
D社が一番合っていると思いますよ!D社は素晴らしい会社ですよ!
などと、自分のノルマのために求職者を誘導してしまうこともあるのです。
自分はそんなこと絶対しない!求職者のことを一番に考えて仕事をする!
そう思っていても、人材会社で仕事をしている以上、会社の利益のことも考える必要があります。
その結果、
「本当は求職者のニーズを一番に考えて仕事をしたいけれども、会社の利益や自分の成績のことを考えると、そうもいかない…」
という葛藤に陥ってしまう可能性が非常に高いのです。
この積み重ねにより、最終的には
あれ…?自分は何のためにこの仕事をしているんだろう…
と自己嫌悪に陥ってしまい、人材業界で働くことの楽しさを見失ってしまう可能性があるのです。
もちろん人材業界には素敵な面もたくさんありますが、私自身はそれ以上にこの葛藤に陥りそうな予感が拭いきれなかったため、最終的に人材業界への就職は断念しました。
人材業界に向いている人・向いていない人
ここまで人材業界に就職するメリットとデメリットを紹介してきました。
ここからは、これらのメリットとデメリットを踏まえて、人材業界に向いている人と向いていない人を紹介していきます!
人材業界に向いている人
就活時代の経験を踏まえた上で、人材業界に向いていると感じる人は以下の通りです。
- コミュニケーション能力に長けている
- 人を商材とすることに対して、ビジネスだと割り切ることができる
- 粘り強い
- 自ら積極的に情報収集することが得意
コミュニケーション能力に長けている
人材業界でキャリアアドバイザーやリクルートアドバイザーとして働くからには、コミュニケーション能力が必須です。
なぜなら、人とマストで関わる仕事であることはもちろんですが、それ以上に人材業界が「無形商材」を扱う業種であり、何よりもお客さんとの信頼関係が大切になるからです。
自分が求職者だとして、信頼していないキャリアアドバイザーに自分のキャリアを託したいとは思いませんよね。
そのため、お客さんとの信頼関係を構築するためにも、コミュニケーション能力は必須となるのです。
人を商材とすることに対して、ビジネスだと割り切ることができる
また、先ほどのデメリットでも紹介しましたが、人材業界は人がビジネスの商材となるため、「求職者のため」という気持ちのみで動けるわけではありません。
時には会社の利益のため、自分の成績のために行動してしまうこともありますが、その都度葛藤を引き起こしていては仕事になりません。
「求職者を想う気持ちも大事だけれど、自分は人材業界でビジネスをしている。」
と割り切る気持ちは大切でしょう。
粘り強い
人材業界には厳しいノルマが設定されていることが多くあるため、ノルマに対する粘り強さは必須のです。
特に入社したての頃は、新規開拓のためのテレアポや飛び込みなどのノルマが設けられていることがあります。
毎日何百件もの電話を掛けたり、1日中飛び込み営業をしたりして、メンタルがすり減らされることもあるでしょう。
そんな中でも、「企業のため」「求職者のため」という気持ちを変わらずに持ち続け、粘り強く仕事をしていく力は必要になります。
自ら積極的に情報収集することが得意
最後に、人材業界で人と企業とを繋ぐ仕事をするからには、求職者や企業・業界についての情報をきちんと知っておく必要があります。
お互いの正しい情報を知っていなければ、お客さんに納得してもらうためのサービスを提供することは難しいでしょう。
そしてこのような情報は放っておいても近づいてくるわけではないので、自ら情報を掴みに行く力は必須のの力になります。
人材業界に向いていない人
続いては、人材業界に向いていない人について紹介します。
- 傾聴力が低い
- 人材業界での仕事を「ビジネス」として割り切ることができない
- 変化に弱い
傾聴力が低い
人材業界での仕事は、企業や求職者のニーズを引き出す必要があります。
そのため、そもそも「傾聴力が低い」という人にはあまり人材業界が向いていないと考えられます。
人材業界での仕事を「ビジネス」として割り切ることができない
人材業界に向いている人の裏返しにはなりますが、人材業界は必ずしも求職者のニーズを叶えてあげられるわけではありません。
会社の利益や自分の成績を考慮した結果、自分が担当した求職者にとって、望まない結果になってしまうこともあるのです。
誰かの人生の分岐点に携わり、ポジティブな影響を与えたい!
というイキイキとした目標をもって入社したとしても、なかなか求職者の思うとおりにニーズを叶えてあげることができず、葛藤を抱えてしまうことがあるでしょう。
そのため、「自分がやっていることはビジネスだ」と割り切って考えられない人にとっては、人材業界で働くことが苦しくなってしまうでしょう。
新卒で就職する就活生は特に、このポイントについてしっかりと考えた上で最終的に進む道を決断をしてほしいです。
変化に弱い
デメリットで紹介しましたが、人材業界は景気や少子化の影響を非常に受けやすい業界です。
このように急激な変化の影響を受けやすいことはビジネスモデル上避けられないことではありますが、この変化に対して耐えられない人は人材業界で働くことが厳しいでしょう。
まとめ
人材業界は企業と人とを繋げる素敵な業界ですが、一方でビジネスとして行っている以上、必ずしもお客さんの望む通りの結果になるとは限りません。
人材業界を考えている人はメリットを知ることももちろん大切ですが、ぜひ、デメリットも知った上で、両側面から合理的な判断をすることを意識してしてください!
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